「民鉄・三セク支援プロジェクト」
の趣旨・内容
1.鉄道は地域にとっての宝物
地方ローカル線は地域にとっては宝物であると言えるものですが、日本では採算のことばかりが取り上げられて大変厳しい状況に置かれている民鉄・三セク路線は少なくありません。
本プロジェクトは、自治体との連携によって廃線の危機から再生して、利用者が大幅に増加して採算も大きく改善し、地域のために貢献している「ひたちなか海浜鉄道」における経験など、一般社団法人ローカル鉄道・地域づくり大学が有している知見を活かして、各地の民鉄・三セク路線の再生・活性化を支援するものです。
2.利便性の向上による正のスパイラルへの転換
EU諸国などでは、カーボンニュートラルの実現に向けて鉄道の利便性向上に力を入れており、その結果、鉄道利用者が大幅に増加してきました。コロナの影響からも脱却して、鉄道を中心とする交通政策を引き続き強化していくことを表明しています。
鉄道の価値を採算ではなく、社会全体にもたらされる効果で評価しているからです。
一方、日本では多くの地方路線において「利用者減」→「利便性低下」→「さらなる利用者減」という負のスパイラルに陥ってきました。
鉄道経営のすべてを民間事業者に委ねるとそうならざるを得ない路線が少なくありませんが、自治体が関与すればそれを大きく転換できる可能性があります。
実際に、「ひたちなか海浜鉄道」、「富山ライトレール」、「あいの風とやま鉄道」、「えちぜん鉄道」などは、自治体が関与する路線に生まれ変わったことによって、利便性も向上し、利用者数も増加してきました。また、これらの路線では、新駅設置や案内システムの刷新なども進み、地域に役立つ路線として大いに貢献しています。
本プロジェクトでは、ダイヤ改良などの利便性向上によって正のスパイラルを達成してきたEUや国内の路線の事例を紹介するとともに、なぜそれが実現できるのかを示したうえで、対象路線に対する具体策を示します。
3.「一般社団法人ローカル鉄道・地域づくり大学」と「富山大学都市デザイン学部」の実績
このプロジェクトは、一般社団法人ローカル鉄道・地域づくり大学と富山大学都市デザイン学部「都市・交通デザイン学科」の連携で実施します。
一般社団法人ローカル鉄道・地域づくり大学設立の母体となっている「ひたちなか海浜鉄道」は、赤字のために廃線の危機となっていた民間鉄道を、自治体が中心となった第三セクター鉄道に移管したうえで、増便や終電時刻の繰り下げ、新駅設置などの利便性の向上や、地域と一体となったまちづくり活動などによって、大幅に利用者を増やし採算も大きく改善させました。また、将来に向けて延伸する計画も進めるなど、地域に貢献する鉄道としての役割を果たしています。
富山大学は、国公立大学では唯一「交通」の名が入った学科である「都市デザイン学部 都市・交通デザイン学科」を持ち、実際に地方鉄道の再生・活性化に関わってきた専門の教員が所属しています。JRからの移管路線として利便性を向上させてきた「富山ライトレール」や「あいの風とやま鉄道」、数年後のJRからの移管準備を進めている「城端線・氷見線」などの改革に貢献してきました。また、「公共交通を軸としたコンパクトシティー政策」を進めてきた富山市とも様々な面で連携しています。
さらに、一畑電車、えちぜん鉄道、京都丹後鉄道など、輸送密度2000人程度以下でも地域に大きく貢献している各地の地方鉄道路線の再生・活性化に関わってきており、現在も関係自治体・鉄道事業者・経済団体・市民団体などと交流・情報交換を続けています。
本プロジェクトは、これらの知見や人脈等を活かして地方路線の再生・活性化に寄与することを目的としています。
4.本プロジェクトの実施内容と方針
自治体や経済団体等を対象として、鉄道を最大限生かすための方策を見出すことを目指すプロジェクトです。バス転換やBRT化など他のモードとの比較を主眼とするものではありません。鉄道としての再生・活性化を目指す自治体等を支援したいと考えています。
(一般的なコンサルティング委託との違い)
本プロジェクトは定型的なものではありませんので、具体的な内容は、それぞれの地域における検討の進度に応じて相談しながら決めて参ります。
例えば、効率的に運行されている路線の経費水準との比較や、ダイヤ改良の方法の提案など、各路線における効果的な提案を、現地調査やデータ分析等も踏まえて行います。
また、鉄道に対する地域の意識醸成のために、勉強会・講演会・意見交換会などを開催することも考えられます。「鉄道がなぜ地域にとって宝物だと言えるのか」、「世界の多くの国はなぜ鉄道の活性化に力を入れているのか」、「鉄道を地域に活かすためには何をすればよいのか」などをお話し、地元の経済界・マスコミ・地方議会議員・行政職員の皆さんなどと一緒に考える場を設けることも可能です。
(協力体制)
地方鉄道再生に関わってきた学識経験者や、自治体の首長経験者、地方鉄道事業者の幹部などとも連携関係を構築しており、勉強会・講演会の講師として招聘するなど日本の地方鉄道再生・活性化の知恵を提供する体制を整えています。
5.実施内容とスケジュール例
対象路線ごとに相談しながら決定しますが、例えば下記のような構成が考えられます。
(内容例)
① 現在の経費水準や、運行本数等の利便性の他の地方鉄道路線との比較
② 経費水準の検証を踏まえた収支改善の可能性と利用促進策の提案
③ 鉄道への自治体の協力に対する合意形成に向けてのシンポジウム・セミナー等の開催
(スケジュール例)
1.現地での関係者との情報交換・意見交換
2.現地踏査・データ収集の必要性チェックおよびデータ収集
3.庁内でのディスカッション・取り組み内容の検討および立案
4.庁外での勉強会・講演会等
5.必要に応じて1~4へのフィードバック
6.アウトプット
(実施件数)
2025年度は3件程度とし、概ね3年程度で実施します。
6.概算経費
具体内容を相談したうえで見積りを提示しますが、例えば以下の内容の場合の目安を示します。
上記内容例①・②を合わせて、450万円(税別)+打合せ・現地調査のための出張旅費
③やその他の内容については、内容に応じて見積りします。
● 国土交通省の「地域公共交通再構築調査事業(補助率1/2)」の対象となる可能性があります。
7.お問合せ
メールアドレス 「project(ここに@マークを入れてください)transport-tt.com」
● 予算要求等に向けての自治体のご担当者からのご質問についても遠慮なくお知らせください。
ご希望があればお伺いして趣旨・内容等についてご説明いたします。
(説明には交通費等を含めて無償でお伺いします。)
● 文中に記した事例の内容など、ご検討のための情報もご依頼に応じて提供しますのでお問合せ下さい。